ホイールローダー TCM L4 修理 

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エンジン修理
油圧シリンダーオイル漏れ修理
全塗装

現場で谷に転倒して、その後エンジンがかからなくなったらしい。
エンジンがかからないと油圧のステアリングやバケットが動かないので積車で運ぶことも困難。 なんとしてでも現場修理でエンジンをかかるようにしてほしいとの依頼。





TCMのホイールローダーですが、エンジンはクボタ製のD1503 ディーゼルです。 転倒時にエンジンをすぐに切らなかったらしいので、オイルが回って燃焼室内でオイルハンマー現象が起こってたら厄介です。 セルモーターを回した感じではエンジンのコンロッドが曲がったような重大な症状は見当たらなかったです。  ディーゼルの初爆無しはまず第一に燃料関係から点検していきます。
軽油が入ってることを確認。 燃料ライン、燃料フィルターまではOKでした。
噴射ポンプに付いてるブリーダーを緩めて燃料ポンプを作動させると燃料は出ます。 噴射ポンプからエンジンに行く高圧パイプを緩めて燃料ポンプを作動させると燃料が出ませんでした。 これで噴射ポンプあたりの不具合が確定です。







ストップソレノイドを点検してみます。 このタイプのエンジンはセルモーターをスタートさせると12Vが入ってコイルがロッドを引っ張ります。セルが終わってキーがONの位置でコイルの励磁保持です。OFFにするとコイル電圧が切れてロッドが出てきます。 このロッドは噴射ポンプにリンクされててロッドが出ると噴射ポンプの燃料調整ロッドを押し燃料カットされてエンジンが切れます。
これが出たままになってるとエンジンがかからないです。 しかしこのストップソレノイドは正常でした。 







このレバーはストップソレノイドが壊れてエンジンが切れなくなった時に手動でエンジンを切るレバーです。 






噴射ポンプはクランクシャフトからギアーで駆動されています。セルを回すとギアーも問題なく回っています。  








噴射ポンプを取り出しました。  ガバナーレバーが噴射ポンプのロッドに噛んでるので簡単には出てきません。 スタッドボルトを抜いた方が簡単かもしれません。 噴射ポンプのこの画像では右側にロッドを戻すスプリングがブロックの外からボルトで付いてます。そのスプリングも外します。 噴射ポンプの取り付け時もガバナーレバーに確実に噛ませて入れるのはかなり面倒です。 






噴射ポンプ下のカムシャフトも問題なさそうです。







燃料を調整するコントロールラックとガバナーレバーの噛み合いが悪かったようです。 転倒のショックでガバナーの重りが揺れてコントロールラックとの合わせ部でケースとの隙間に噛みこんでいたのかもしれません。






ストップソレノイドとコントロールラックの間に入るプラスチックの部品が
最初は押し込まれた状態で止まってました。 噴射ポンプを外す時にナットを緩めてポンプを動かしたら少し出てきました。この部品は固着とかは無くスムーズに動くのでコントロールラックがロックされてた感じです。 噴射ポンプを取り外した状態でコントロールラックを動かすとスムーズに動いてました。
結論としては転倒ショックによるコントロールラックとガバナーレバーのリンク不具合だと思われます。 噴射ポンプを組み付けてセルモーターを回すと高圧パイプから燃料が噴射されました。  部品を組み付けて試運転でエンジンは快調に回りました。






バックミラーもくちゃくちゃです。 





根元が折れたのでパイプの内径に合わせて丸棒を削ってジョイントにします。
つないでから溶接で付けます。






なんとか直りました。





バックミラーは完成です。





ウインカーとヘッドライトは修復不可能です。 





端材でステーを作って取り付けました。  とりあえずこれで完了です。
公道を少し走るらしいので小型特殊のナンバープレートが付いてます。
自賠責が切れてるので近くのGSでかけたら原付に貼ってるようなステッカーが付いてるのかと思ったら無かったです。 小型特殊はステッカー無いみたいです。ステッカーが無いと切れたまま更新を忘れてしまいそうですね。



油圧シリンダーオイル漏れ修理 

リフトシリンダー2本からオイル漏れが酷いです





ステアリングシリンダーもオイル漏れしています。





リフトシリンダーのヘッドシールを交換します。 今回はピストンシールは大丈夫なのでヘッド部のみの交換です。




ロッドは傷もなくきれいな状態でした。





ステアリングシリンダーもヘッドシールのみの交換です。 




全塗装 ヘッドライト交換 屋根修理

TCMのL4と古河のFL302 日立LX20、は同じ機体みたいです。 エンジンフードの塗装が剥げやすいようです。
材質はあまり見たことない樹脂のような感じです。 車のバンパーのPPとは違う感じです。FRPでも無いです。
一皮剥きました。 プライマーは関ペのPPプライマーを使ってみます。




カウンターウエイトがリアバンパーになっています。鋳物製なので表面がボコボコしてます。







パテ入れてウレタンサフを吹きました





 シート下のカバーはFRP製です。 足付けだけで大丈夫そうです。 関ペのPG80で塗りました。





屋根は広範囲で割れてます。 FRPで修理してみます。





屋根の取り付け用ナットがプレートに溶接されてFRPの中に埋め込まれてるようですが、割れてプレートが外れてました。





FRP3層貼って割れは直りました。 インパラ樹脂を使いましたがノンパラにすれば良かったです。後で塗装する時に
サンダーかけないといけないです。





取り付けナットは位置決めしてエポキシボンドで貼り付けます。





クランプで固定して1日置きます。





フェンダー切れてたので0.6mmワイヤーの半自動で付けました。 










サンダーで擦ってパテ入れます。




リヤフェンダーの凹みを出します。 結構厚い鉄板なのでチェーンブロックで出しました。





ボディは青でリアバンパーは黒で塗りました。





重機は油圧ホース類のマスキングが面倒です。 知り合いの塗装屋さんはホース類はクッキングホイルでマスキングするそうです。今度試してみます。





乗り降り用のステップが曲がってしまってます。 ハンマーで叩いたくらいではびくともしません。





ステップを切って分解してから直します。




プレスでまっすぐにしていきます。





曲面もプレスで少しずつ曲げていきました。





パイプベンダーで微調整しました。





溶接で組み立てました。 よく考えたら修理より鉄板から作った方が早かったかもです。





ヘッドライトとウインカーは新品交換するのでステーを作ります。





ヘッドライトステーの取り付け部を作ります。 





角パイプを切ってCチャン状にしました。 それに取り付けプレートを溶接します。





24V用のヘッドライトだったのでバルブを12V用に交換しました。 





マスターシリンダー辺りからオイル漏れを発見。 よく見るとリザーブタンクからマスターシリンダーにいってるホースから漏れてました。 この機種はブレーキフルードではなく鉱物油をブレーキオイルに使ってます。
エンジンオイルのようなオイルです。 マスターシリンダーからでなくて良かったです。





最後にホイールを塗って完了です。 




TCMのステッカーを知り合いに作ってもらいました。L4はちょっと大き過ぎました。

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