旋盤再生 塗装 旋盤を入手しました。油汚れが酷いので洗浄して再塗装しようと思います。和研機工のKSL45 おそらく40~50年くらい前の旋盤かと思います。使ってるネジ類はすべてインチネジです。ウィットネジみたいです。主軸のチャック取付部も昔の規格なのか寸法が違います。7インチのスクロールチャックが付いてたのですが、インローサイズは合ってるのに取付ネジのPCDが主軸側が3mmほど小さいです。無理やり付けてたみたいで取付ボルトが斜めに入ってネジ山もつぶれてました。 付いてたチャックはM10用でボルトはウィットでした。W3/8ネジは少しM10より細いので少しくらいPCDが違ってもねじ込めたのでしょう。ピッチはM10が1.5で3/8は1.59なので似ています。 主軸のPCDを少し削って拡げたらきちんと嵌まるようになりました。 動作確認してみましたがモーターが動きません。 直接モーターに3相200Vをつなげると動きました。マグネットコンタクターかロータリースイッチの不良みたいです。当方は汎用インバーターで制御する予定なので問題はないです。 インバーターで動かす場合はモーター間にスイッチ類は付けてはいけないのでスイッチはインバーターのON,OFF 逆転入力信号で作動させます。 ギヤの入りが悪いのでオイルレベルを見てみたらオイル入ってませんでした。 給油口はとても狭い場所にあります。細いチューブで圧送しました。 強力クリーナーでも固着した油は取り切れません。 よく見ると親ねじはインチのねじ切り用です。ねじ切り表もピッチではなくインチあたりのネジ山数で書かれてます。あいにくねじ切りの変換ギヤは3個欠品があります。 このギヤもモジュールギヤなら良かったのですが、DPピッチのギヤなので入手は苦労しそうです。 刃物台や横送り台を取り外して洗浄します。 洗浄剤に漬けるとヘドロのようになりました。 刃物台はTスロットで取付られて角度をつけて回転するようになってます。 Tスロットのナットがなかなか出てきませんでした。 円形のTスロット溝はどうやって掘ったのでしょう。ナットの方はひし形になってました。知恵の輪のようにして抜きました。 取り外せる部品はメタルクリーナーに漬けたらきれいになりましたが、本体はメタルクリーナーをかけてもなかなか油汚れが落ちません。 セスキ炭酸ソーダーを溶かしてスプレーすると案外取れました。 安いので惜しみなく使えます。 元の色が出てきました。 一見きれいに見えてもまだ油が残ってます。 塗装するには脱脂しないといけないのでシリコンオフでふき取ります。 テールストックも塗装します。 鋳物の地肌まで塗装とパテを剥ぎました。 全部塗装するのは大変なので今回は主軸の辺りとテールストックだけにします。 車の塗装で余ったもので塗ります。 中間パテで面を出してサフを塗りました。 ギヤボックスの扉はアルミ製だったので密着バインダーを下地に塗ってます。 トヨタのRAV4の塗装で余ったのを使いました。 残りの部分はペイントが無くなったので違う色になりそうです。 パジェロミニのシルバーが余ってるのでシルバーになりそうです。 鋳物に塗装したこと無かったのでてこずりました。 パテで面出ししないとボコボコになってしまいます。 親ねじシャフトと自動送り用のシャフトを取り外します。 スイッチのついてるプレートを外さないとシャフトのテーパーピンが抜けません。 テーパーピン 少しピンポンチでたたき出したら180度回してペンチで引き抜きました。 シャフト右側の軸受け部もテーパーピンが入ってます。 内側から細い棒でたたき出しました。 シャフト2本抜いたのでシャフトの後ろ側も洗浄して塗装できます。シャフトがあるとエアーサンダーが入らないので困ってました。 残りの部分を塗装するためにエプロンを外します。 結構重たいのでリフトで支えながら下ろしました。 エプロンの裏側のオイル溜めになっている所に割れが有ります。 過去に補修したようです。規定レベルまでオイルを入れると漏れてきます。 鉄板を当てて補修しました。 オイルカップから給油するラインも詰まってたので通るようにしました。 ベッドと下側はパテ無しでサフとウレタン塗装だけにしました。 旋盤の置く場所はとりあえず決まりましたので簡単に土台を固めました。 コンクリートは使わずに土間にします。タンピングランマーで砂利を締め固めます。 タンピングランマーだとデコボコになるのでプレートで真砂を均していきます。 レベルを出しながら水平に均しました。 この上に鉄板を敷きます。 正確な重量は分かりませんが1トン近くあるので慎重に移動させます。 この旋盤の重心はちょうど主軸のチャック取付面辺りです。 車を持ち上げる230センチの延長爪が有ったので助かりました。 往復台も外してベッド上面をオイル砥石で研ぎました。 往復台はなんとか手で持てました。 テイルストックを取り付け 固定センターはMT3でした。 センター軸をロックするレバーが固着してました。 レバーを右に回転させるとピストンを下に押し下げるのですが固着して動きません。内側から押し出してペーパーで磨いたら直りました。 切り子除けのワイパーも固くなってたので厚手のフェルトを切って作りました。 電磁開閉器の電線は被覆がボロボロでした。 インバーター制御にするので使いませんが古い機械は気をつけないと危ないです。 電線関係はすべて交換します。 主軸の正転逆転スイッチです。 ここも電線の被覆が腐ってます。スイッチ本体は問題ないのでここにインバーターの正転、逆転信号を入れて動かします。 起動信号は低電圧なので細い線でも大丈夫です。 鉄筋のように固くなった古い電線を抜くのが大変でした。 この線の他にブレーキバンドにリミットスイッチが付いていて電磁開閉器のコイル端子1につながってます。 サーマルのb接点はコイル端子2につながってます。正転逆転切り替えは電磁開閉器ではなくロータリスイッチで2線を切り替るようになってました。 ロータリースイッチは使えそうなのでインバーターのSD端子と正転スタート端子、逆転スタート端子につなげます。SD端子からの配線はブレーキレバーのリミットスイッチ経由で来ています。 ブレーキレバーをかけるとインバータで停止してインバーター内蔵の電気ブレーキも効きます。これはパラメーターの設定で強くしたり調整できます。 横送り台の雌ねじの取り付けに悩みました。 ベットの下から取り付け可能なのですが一人だと難しいです。 こんな道具を作って下から雌ねじを付けて上からボルトで仮止めします。 なんとか横送りの雄ねじシャフトが入りました。 刃物台を取り付けました。ここの送りネジは簡単に入りました。 バイトを取り付けるボルトが3本ほどねじ山が無くなってます。 ネジピッチはw1/2-12 ここもウイットネジです。四角頭のバイト取り付けボルトはスボルトと呼ばれてるみたいです。 M12なら売ってるけどウイットのスボルトは探したけど見つかりませんでした。 W1/2の六角穴キャップボルトでも代用できそうです。刃物台は昔のロウ付けバイトNO3 19角用みたいです。22角や25角を付けると刃高が高くなります。刃高が低いのはシムを入れればいいですが高いのは刃物台のバイトを置く位置を削るしかないかもしれません。 チャックの振れを見てみました。あまり精密でないけど丸い棒を咥えて測ってみました。0.01くらいなので思ったより悪くないです。 変速機ギヤーボックス異音 動くようにはなったのですが変速機ガラガラ音がしてます。 中を見てみます。 結構重たいです。40KGくらいありそうです。 プーリーシャフトはテーパーになってます。 ギヤは思ったより綺麗です。 歯こぼれも無く異音の原因ではなさそうです。 異音の原因は入力軸のローラーベアリングのローラーが脱落していました。 半分くらいは外れて無くなってます。 シャフトを抜くとローラーがバラバラになって落ちてきました。 ベアリングは入力軸のローラーベアリングが全損 他のベアリングも動きが悪くなってたので全部交換します。出力軸のプーリー側は内側がボールベアリングで外側がローラーベアリングの2個入ってます。 ローラーベアリングのアウターレースがベアリングケースに残ってしまってます。 プーラーの爪が入る隙間もありません。ナチのNF305のようです。 アウターレースにきっちりはまるようにパイプを削ります。 はめ合い用ロックタイト638を塗ってはめます。 隙間は0.03mmくらいにしてます。 翌日まで置いて硬化した頃にプレスで押してみましたがダメでした。 ロックタイトがはずれました。638はかなり強力なので普通ならアウターレースが抜けるはずなのですが今回は使用期限切れのを使ったから硬化不良だったのかもしれません。30度保温で24時間置いてもまだ少し未硬化部分がありました。 最終手段です。先ほどのパイプを切ってそれをアウターレースに溶接しました。 あまり熱をかけたくなかったのですが仕方ないです。 外れました。 出力軸側です。まずはベアリングとシャフトをベアリングケースから抜きます。 ベアリング2個同時に外します。 プーリーの反対側は普通のボールベアリングです。奥に少し隙間があるのでギヤプーラーの爪を引っかけて少しずつこでながら出してきます。 最後はスライディングハンマーで取り出します。 ベアリングとオイルシール 内部洗浄しました。 ベアリングは結構きつめに入ってます。ガガガっと音を出しながら入って行きました。 最後にシフトフォークを合わせながら蓋をします。 液体ガスケットを塗ってからシフトフォークを合わせながら蓋を閉めるのが大変でした。 ベルト3本x2 交換 ベルトテンショナーのベアリング2個交換 動かしてみると変速機の異音も無くなってました。 バイトを付ける刃物台が低くて 25mmシャンクのバイトが使えません。 フライスで低くなるように加工しました。 4カ所削った方が良いのでしょうが、とりあえず1カ所だけ削りました。 19mmのバイトと25mmのバイトが同じ高さになります。 後の微調整は敷き板でします。 自動送りのギヤが欠品だったのでゆっくり送りたい時の20歯のギヤを探してました。 付属で付いてきた20歯のギヤ(右側)はDP12ピッチでこの旋盤のDP14ピッチより歯が大きいです。 かみ合いません。 ダイヤメトラルピッチの歯車なんて昭和の時代なら使ってたけど最近はモジュールピッチが主流なので同じギヤの既製品は売ってないと思ってました。しかしながらモノタロウでDP14ピッチのギヤが売ってました。 20Tで1500円ほどです。 これは嬉しかったです。自分でギヤを削るのは大変ですからね。 まずは内径を拡げます。10mmから21.8mmまでドリルで掘ります。 ギヤのシャフト側は22.15くらいです。 22.2のリーマーがあればいいですが手持ちの22mmで均しておきます。 ボーリングバーでほんの少しだけ削ってシャフトに嵌まるようにしました。 キー溝を入れます。 フライス盤のクイルのレバーを上下させて切り込んでいきました。 旋盤の刃物台に取り付けようと思ってましたが旋盤のハンドルを回して削るよりフライス盤のレバーを下げて削るほうが効率よさそうな気がしました。 肉厚が少なくなりました。 歯車の交換表には20Tも書いてあるのでこれでも大丈夫なのでしょう。 主軸が回らないようにブレーキを固定してやりました。 車のサイドブレーキのように主軸を止めたまま固定できたらいいのですが。 ローテクですがレバーをラッシングベルトで吊ってます。 なんとか使えるようになりました。 今までは一番ゆっくりの縦送りで0.1mm/rev だったのが0.07mmまで落とせます。 インチ親ネジでミリネジを切る インチ親ネジでミリネジを切るには127歯のギヤをドリブンに入れればミリピッチになります。 この旋盤の親ネジはピッチ6.35mmで4山/インチ なので ドライブギヤに20T 25T 35T 40Tを入れると20T-P1 25T-P1.2530T-P1.5 35T-P1.75 40T-P2 になります。 20歯÷127歯X6.35=1 という計算です。ドライブギヤとドリブンギヤの間に入るアイドラーギヤはどんな歯数でも減速比は変わりません。 今回はアイドラーに80歯を入れました。昔の旋盤なのでダイヤメトラルピッチで DP14です。 モノタロウで売ってました。 いろいろ探したけど唯一既製品で売ってる127Tはこれだけでした。 穴を拡げてからキー溝を入れます。 かなり大きいギヤなので旋盤には付けれないです。 穴をあと0.05ほど拡げたいのですが旋盤に付かないのでボーリングヘッドでやりました。 ギヤが大き過ぎて本体からはみ出てカバーが閉まりませんがなんとか付きました。 親ネジも摩耗してますがピッチは手で主軸を1回転させると30x127T で1.5mmでした。 ミリの時はダイヤルインジケーターが使えないので正転、逆転でネジを切らないといけませんがそんなに頻繁にしないので気にしません。 投稿ナビゲーション 油圧プレス 廃材利用で自作トラック荷台修理 簡易クレーン取り付け タイタンダッシュ コメントを残す コメントをキャンセルメールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目ですコメント ※ 名前 ※ メール ※ サイト 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。 Δ このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。